『生きのびるための事務』って、なんだかおおげさだな…と私はまず思ったのでした。
世間で話題になっていて興味はあったのですが、ちょうどよく夫が買ってきたのを借りて読んでみることに。
「事務」を侮るわけではないけれど、生きのびる力になるとは?と、少し斜めから読み始めたこの本。
でも、読んでよかった。この先何かを目指すとき、この本のことを思い出して「事務」から始めたいな。
- 先に夫が読み、よかったと言っていたから
- 事務が「生きのびるため」のものなんて、なんだか壮大。どういうこと?と気になったから
書籍情報・あらすじ
書籍の基本情報
書籍名 | 生きのびるための事務 |
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著者名 | 坂口恭平(著)・道草晴子(イラスト) |
出版社 | マガジンハウス |
出版年月日 | 2024年5月16日 |
頁数 | 224ページ |
あらすじ
どんな仕事にも《事務》は必要
「例えば芸術家であるピカソが、直感のままに生きてらっしゃるとでもお思いですか?」
芸術家でも会社員でも学生もフリーランスも、
事務作業を疎かにしては何も成し遂げられない。
夢を現実にするたった一つの技術、
それが《事務》です。
「自分に自信がない」
「やりたいことが続かない」
「悩んで行動に移せない」
足らないことは《事務》でした。引用:Amazon商品ページ
本を読んだ感想
ジムの表情の「無」|ジムの教える“事務”は、淡々としている
まず、ジムの顔がとっても好き。ストーリーが進むにつれ、どうしてこの表情なのかが分かるような気がしてきます。
こちらが「でも~」「だって~」と言っても、全然取り合わずスルーしてくれそうなジムの顔。
やりたいことが決まっているなら、そこへ向かいましょう。と、その目で語っているのです。この顔にしたイラスト担当の道草さん、すごいな。
ジムが教えてくれる「事務」は、熱くもなく冷たくもなく、淡々としていて一定です。
その温度のなさが、逆にしっかりと確かなものに感じました。
やるべきことを挙げたら、それを淡々と、確実にやっていく。
「これってやる意味あるのかな?」「そんな簡単じゃないよ」とか、そういう感情を挟ませない。
坂口恭平が自分の中に作り上げたイマジナリーフレンドのジムは、事務を自動的に進めさせてくれる存在。
怖くなったとき、それでも淡々と背中を押してもらうための存在なのですね。
将来の現実を設定|今夜唐揚げを食べよう、みたいに10年後を決める
今夜何を食べるか決めるとき、まず頭の中に浮かぶのは「何が食べたいかな」という気持ちですよね。
そして唐揚げにしよう、と決めたとき、そこにはためらいも怖さも、何も生まれません。
食べたいから食べる、それだけですよね。(作るの面倒だな…とは思うかも。)
そんなふうに10年後の自分を決めることができたら、あとは怖がらずにそれに向かって進むだけ。
今夜唐揚げを食べると決めたとき、「食べられなかったらどうしよう?怖い!」と思う人は少ないはず。
まず材料を買ってきて、お肉を切って下味をつけ、粉をつけて揚げるだけと手順が分かっているので、それに向かって進むだけですよね。
こんなふうに10年後の自分を決められれば、進むことも怖くないのかな。
逆に言えば、進むことが怖いなら、まだその計画に不安な点がある、心が揺れているということかもしれないですね。
どうせ最後は、上手くいく。
この本にたびたび登場する合言葉がこちら。こう言いきるためにはどうしたらいいのでしょう?
それもジムに諭され、小さな事務を繰り返し…そうするうちに、だんだんと信じられるようになるのかな。
心に鍵がかかってる|それほどまでにやりたいことなんて、ないような気がする
すごく根本的な部分に立ち返るのですが、そもそも、私にはそれほどまでにやりたいことなんてあるの?
10年後こういう人生を送っていたいという、坂口恭平さんのように強い何かが。
最後まで読んでもなお、「じゃあ私はこっちに進んでみよう」と思えることがなかったのです。
でも、ここで終わるのもなんだか悔しい。
10年後についてもう一度考えてみたとき、私の心にはやはり鍵がかかっている気がしました。
もうね、奥に奥に入らせないぞという、固い鍵が。
別に働きたくもないのに、心が自然と「じゃあ何をして働こうかな」と思っちゃってる。
素直に、素直~に自分の心に問いかけていくと、10年後にしたい暮らしはこうだったのです。
- 日当たりと眺めのいい家で暮らし、好きなときに寝て、好きなときに起きたい
- 夫と犬と、毎日一緒に散歩に行きたい
- もっと自由に、好きなことをして稼ぎたい
- ヨガに行って運動をして、好きなカフェでゆっくり本を読みたい
もっとありますよ。これはまだ私の10年後の想像が始まった段階で、より細かく深くしていったらもっとたくさん出てきます。
そう、だから、「やりたいこと」が別に仕事でなくてもいい。誰の役に立たなくても、立派じゃなくてもいいのですよね。
自分の奥底の本音に鍵をかけて、なんか苦しくなってしまっているみたいです。
10年後の現実を迎えるために、お金のことは「事務」で計画していけば大丈夫、なのにね。
あ、なんだか「生きのびる」の意味が分かった気がする!
おわりに
最後に、この本を読んで私が感じたことを素直に、率直にまとめます。
- まず、自分の本心に耳を傾けるところから。もう、そこがまず難しくなっている
- 将来の現実。ちゃんと設定できれば、そこへ向かい始めるのかもしれない
- 好きなように生きのびる方法を、この本で知ることができた。やってみることが肝心
最後までお読みいただき、ありがとうございました!
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